怖い話を楽しもう♪トラウマ必至の怖い話も、主人公に解決させることでいい話になるかも。
(from 有名な怖い話を、クールに反撃する話に改変しよう )
夜逃げをやらかした奴の置き土産を処分にこのアパートに来た。町外れに建つ築30年は経っていそうなボロアパートだ。入ってすぐ、据えた匂いとゴミの山に最悪の気分になった。
案の定金になりそうなものは何もない。まったく忌々しいが、明日の朝まではこの部屋を出るわけにも行かない。他の取り立て屋に横取りされるからだ。
半年前のグラビア雑誌を見ながら時間をつぶすと、夜になった。そろそろ差し入れの弁当が届く頃だ。と、隣の部屋の奴が壁をドン、ドン、と叩き始めた。
うるせぇなぁ……毒突いてこちらからも壁をどん! と蹴った。
音は一時やんだが、またドン、ドン、ドン…… 臭いと音にイライラして大声で怒鳴った。今度は音が止まない。頭に来た俺は部屋を飛び出して隣の部屋のドアを開けた。
その部屋にいたものは!
鍵は掛かってなかった。真っ暗な部屋で女が一人、壁に向かって頭を叩き付けていた。ゴツンッ、ごんっ、ゴツ!……頭をぶつけるたびに長い髪が舞って、何とも気持ち悪かった。
そして俺が見ているのに気付いたのか、女は唐突に動きを止めた。そしてゆっくりとこちらを……ぽっかり空いた穴のような両目が俺を見つめる。半開きの口が、ゆっくりと開いていった。
女が何か言う前に俺は急いで部屋に飛び込んで、女の髪をわしづかんで畳に押しつけた。「おい、姉ちゃん、取引しねぇか?」何か言おうとしたようだが、女は抵抗を止めた。
「黙って俺についてくりゃ、好きなだけ壁打ちさせてやるぜ、どうだ?」女は小さく頷いたように見えた。
俺はこうして、4体目の女幽霊を手に入れた。大きな声じゃ言えないが、こいつが実にいい金になる。世の中には合法的に?店子を追い出したい大家がごまんと居る。
そいつらの依頼で、彼女らを空き部屋に置いてくるのだ。大抵の住民は一週間以内に自分から出て行く。俺も女たちも大満足だ。
夜逃げのほうは金にならなかったが、いい女幽霊が手に入った。これだからこの仕事は辞められない。
転んでもタダで起き上がらない裏家業ですね。こんな素質があったらいっそのこと陰陽師として幽霊使いで活躍した方が儲かりそうやけどなぁ。